ART FACTORY城南島のスタジオで作品制作を行っているアーティストの皆さんをご紹介する企画「Artist Report」。
第1回目は、現在、個展「TRANSITION」をいりや画廊で開催中の「久野 彩子」さん。
制作の現場と個展についてのインタビューを公開いたします!
ぜひご一読ください!
個展に向けて準備中の久野彩子さん、とてもお忙しいご様子。
大きな球体の作品をドリルで削っています。
この作品は洋白*1で成形されていて、洋白の曇りやくすみをとるために、新たに細かい傷をつけるように磨いているそうです。
外側は磨かれてピカピカですが、内側は研磨されていないので、グレーっぽくくすんでいるのがわかります。
左側の作品「core」は、個展DMのメインビジュアルになっている作品です。
久野さんが抱えている作品と比べると色が黒っぽいですね!
どちらも同じ洋白という素材ですが、磨き具合でここまで色が違います!!
下記の作品は、昨年10月に開催した「OPEN STUDIO 2021」に出展いただいた作品たち。
金属の色や大きさ、形態の違いで受ける印象が全然違うのが面白いですね!
久野彩子さんは、蝋でできた細かいパーツを組んで、作品の原型をつくり、型取りして金属に置き換え、そのパーツを組み合わせて制作するという「ロストワックス精密鋳造」という技法で作品をつくられています。
作品のモチーフは、”都市の風景”が発想源となっていて、都市空間で繰り返し行われる創造と破壊、構築と再構築、その行為の儚さや脆さ、そこから生まれる静かな力強さや希望を未来へ続くエネルギーとして捉え、作品をつくられています。
カッターの刃先を火で炙り、その熱で蝋を溶かし、パーツを組んでいます。
ここで個展「TRANSITION」について、久野さんに少しだけインタビューさせていただきましたので、ご紹介いたします!
― 今回の個展のタイトル「TRANSITION」はどういう意味が込められているのでしょうか?
久野:今回のコロナ禍で都市は動かなくなり、人工物はあっけなく止まってしまい、儚い印象を受けましたが、生物はこのような状況でも移り変わっている。
そういう意味が込められています。
― 個展のDMに掲載されている作品「core」はどういう作品ですか?
久野:色々な意味が込められていますが、核や種、地球など、自然のものがモチーフになっています。
2021年は建物だけでなく、花を感じさせる作品を多くつくりました。
生物は不滅ではないので、あえて金属で枯れない花をつくりたいと思いました。
今回の個展も有機的な作品が多いです。
― 完成図なしで作品を制作されているとお伺いしましたが、作り終えるのが難しくないですか?
久野:完成形が見えているので、難しくはないです。
図面があると飽きちゃうんですよね。笑
やっていることが修行っぽいので、義務感を感じないようにしています。
ヒューマンエラーが面白いというか、あえて危うさを残したいと思っています。
ゆがみや失敗が有機的になったり、偶然の産物につながったりなど、
良く言えば、失敗を想定してつくって、その時に応じて変化できるようにしています。
ありがとうございました!!
1月10日(月)~22日(土)まで久野彩子 個展「TRANSITION」は、いりや画廊で開催中です!
どのような作品がお披露目されているのでしょうか。
ぜひ皆さん足をお運びください!!
*1洋白(ようはく)は、銅と亜鉛、ニッケルから構成される銀白色の銅合金です。
通電性があり、加工しやすいのが特徴で、鉄道模型のレールにも使用されています。
他にも装飾品や洋食器、楽器(フルートの管体や機構部など)の材料として用いられています。
【展覧会情報】
「久野 彩子 個展 TRANSITION」
会期:2022.1.10(月)~1.22(土) ※日曜休廊
時間:11:30~19:30 ※最終日16時まで
場所:いりや画廊(〒110-0014 東京都台東区北上野2-30-2)
久野彩子 Ayako Kuno | ART FACTORY 城南島 アーティスト紹介ページ
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久野彩子 ホームページ
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