ARTFACTORY城南島のスタジオで作品制作を行っているアーティストの皆さんを少しずつご紹介していく企画「Artist Report」。
第2回目は「影山萌子」さん、2022年3月18日(金)~31日(木)まで神奈川県の相模湖交流センター・アートギャラリーで個展「Welcome」を開催されます。
制作の様子とお伺いしたお話を少しだけ公開させていただきます!
ぜひご一読ください!
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次々と新作が生み出されていく、影山さんのスタジオの一角。
スタジオを覗くたびに新しい作品があるので、いつも驚かされます。
卵のような丸いモチーフを描いています。
迷いなく色を重ねていきます。
下の作品は、以前、影山さんが描かれた作品です。
このカラフルで卵のような丸いモチーフは、複数回登場しています。
〈カウチ〉2017
Oil on canvas
1300×1620㎜
〈カウチ2〉2018
Oil on canvas
1300×1620㎜
一体、このカラフルで卵のような丸いモチーフは、どのようなものなのでしょうか..。
早速ご本人に伺ってみました!
― 描かれている丸いモチーフはどのようなものなのでしょうか。卵でしょうか…?
影山:今回展示する作品には、自分の制作や個展のテーマと繋がりがあると感じた、リチャード・ブローティガン*1著『西瓜糖の日々』から着想を得た要素を散りばめています。
この玉のようなモチーフは、以前は違う意味で描いたりもしている(下記参照)のですが、今回は小説内に登場する西瓜と重ね合わせて配色等を決めました。
― 過去の作品にも同じような(卵のような)モチーフを描かれていると思いますが、
同じモチーフが描かれている作品は、時系列や物語など、作品同士で何か繋がりがあるのでしょうか。
影山:以前は、カラーボールのような無機的な存在が、一つの部屋に家族のように寄せ集まっているイメージとして描きました。プラスチックなど人工的なものの質感への、自身の親しみや懐かしさを象徴するモチーフとして複数回描いています。
今回はさらに、絵の中の景色そのものの比喩というか、描かれた世界の案内人のような役割を付与して、その形状や存在感を再利用したというかんじです。
― 影山さんの作品に描かれている場所は、この世界に実在する場所がそのまま描かれているのですか?
それとも実在する場所がいくつか組み合わさって再構成された、影山さんが創造された空間ですか?
影山:基本的には現実に存在しない風景です。
ただ、完全にパラレルな世界というわけではなく、実在の土地から受けた印象やそこから発展した思考の副産物として生まれる図像を描いているつもりです。
表現のテーマを人の表情やポーズに委ねて人物画を描く人もいれば、色や形状、タッチに委ねて抽象画を描く人もいます。私はその手段が風景そのものであり、場所から与えられるものをまた場所にして排出するというような認識で制作しています。
東京都出身の影山萌子さんは、
現在も急速に進む、東京都心の再開発に対して、混乱や戸惑いを感じると言います。
そういった反応から生まれる、原風景の中に浮かぶ架空の世界を、彼女は絵画や彫刻作品として表現しています。
では、今回の個展「Welcome」について、教えてください。
― 今回の個展のタイトル「Welcome」にはどういう思いが込められているのでしょうか。
影山:今回の個展のテーマは「観光地」と「広告」です。
元々東京などの都市空間が制作のモチベーションとなっており、「観光地」という土地のあり方は、その対になるものとして興味がありました。それに、幼少期から強い恐怖感とおかしみを同時に抱いている「広告」という要素を掛け合わせて、「どこかの土地を宣伝するようで何も宣伝していない、ただ肯定するだけの広告」が溢れた会場を作るという、素朴でポジティブな思いつきからこのタイトルが生まれました。
― 今回の個展ではどのような作品が発表されるのか、DMに掲載されている作品も含めて、ぜひ教えていただきたいです。
影山:テーマに合わせて、駅にあるような旅行パンフレットやポスターを意識しているものが多いです。
DMの作品は、見えないかもしれませんが、不動産の折り込み広告のようなイメージです。
架空の観光地を作り上げるということをもっとデザイン的な手法でやってもよかったのですが、全ての作品を見終わるとそれぞれの脳裏に違う形の場所が立ち上がるような展覧会がいいなと思いながら制作しました。
ありがとうございました!!
影山萌子 個展「Welcome」は3月18日(金)~31日(木)まで、神奈川県立相模湖交流センター・アートギャラリーにて開催されます!!
どのような空間が広がっているのか、とても気になります!
ぜひ皆さん、足をお運びください!!
*1リチャードブローティガンは、アメリカ合衆国(ワシントン州タコマ)出身の作家、詩人。比喩を用いて、幻想的な世界観を描く。デビュー作は『ビック・サーの南軍将軍』(1967年)。『アメリカの鱒釣り』(1967年)で一躍有名になる。本国のアメリカよりも日本やフランスで評価が高い。他、代表作に『西瓜糖の日々』(1968年)、『芝生の復讐』 (1971年)等がある。
【展覧会情報】
「影山萌子 個展 Welcome」
会期:2022.3.18(金)~3.18(木) ※休館日:3.22(火)、3.28(月)
時間:10:00~17:00 ※入場無料
場所:神奈川県立相模湖交流センター アートギャラリー(神奈川県相模原市緑区与瀬259-1)
神奈川県立相模湖交流センター Webサイト
https://www.sagamiko-kouryu.jp/
影山萌子 Moeko Kageyama | ART FACTORY 城南島 アーティスト紹介ページ
https://www.artfactory-j.com/studio/artist/detail/moeko-kageyama/
影山萌子 Webサイト
https://shadowmountainx.wixsite.com/moekokageyama